読書とカフェの日々

読書感想文と日記

悪口って好き?嫌い?

 

【過去の読書記録】
悪口ってなんだろう/和泉 悠

 

とても易しく簡潔な文章で、読みやすかった。

パート1 悪口はどうして悪いのか
パート2 どこからどこまでが悪口なのか
パート3 悪口はどうして面白いのか
上記の3つのパートがあり、私は特にパート1とパート2について興味を持って読んだ(その部分のメモが多かった)。
悪口は“誰かと比較して人を劣った存在だと言うこと”と定義され、悪口をとても悪くするのは“人のランクを下げるから“という考えが述べられている。
“自分が上で、標的が下“というメッセージが悪口の基本の形だから、その言葉が人を傷つけるからと言って、悪口になるとは限らない。それが単に口が悪いことや軽口、自虐、まっとうな非難と悪口を区別する上で重要なポイントになってくる。
軽口は、お互いのランクの同等さが揺るがないという(相互の)確信や関係性がなくてはならない。
自虐は、自分を自分より下げる行為(それは無理)だから、他の人から言われるのとは違う。
まっとうな非難には前向きな側面ーコミュニティの中で同じ立場の存在として歓迎されるための指摘であるという態度の表明ーがあるかどうかが重要。
悪口はすべて悪いかというとそうでもなく、積極的に利用されている社会の紹介や、悪口の使いどころについても触れられているところも良いと思った。

“シーライオニング”という概念を初めて知った。これは、わざと嫌がらせのためにむちゃな質問を繰り返すしぐさのことで、普段ではありえない水準の証拠を要求したりするなどの嫌がらせが含まれるんだそう。相手が質問に答えてくれないことで、被害者ぶりができてしまう。もちろん議論には一定の根拠や足掛かりとなる事実が必要ではあるが、議論をきちんと受け止めない姿勢の一つとしてこういった形態があるんだってことを学んだ。

 

非常に面白く読んだので、同じ著者の「悪い言語哲学入門」も読みたい。