読書とカフェの日々

読書感想文と日記

読書記録

我が愛しの。

岸本佐知子のことを。岸本佐知子は、個性的な作家の声を届けてくれることで人気の翻訳家だ。私は昨年にジャネット・ウィンターソンの「オレンジだけが果物じゃない」で出会って完全にやられてしまった。 オレンジだけが果物じゃない (白水Uブックス176) 作者…

ライティングの哲学(読書記録)

千葉雅也、山内朋樹、読書猿、瀬下翔太による「ライティングの哲学」を読んだ。 ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社 e-SHINSHO) 作者:千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太 講談社 Amazon 本書には「書く」ことを一生の仕事にしながらも、…

灯台守の話(読書記録)

ジャネット・ウィンターソンの「灯台守の話」を読んだ。 灯台守の話 (白水Uブックス175) 作者:ジャネット ウィンターソン 白水社 Amazon 主な語り手の一人、主人公の少女シルバーは崖の上に斜めに突き刺さるようにして建つ家で母ひとり子ひとりで暮らしてい…

千葉ルー(読書記録)

済東鉄腸の「千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話」を読んだ(2023年10月30日読了)。 千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説…

数学する身体(読書記録)

森田真生の「数学する身体」を読んだ。 本書は森田真生の初の著書。本書で森田真生は最年少で小林秀雄賞を受賞。 本書のテーマは数学の身体性だ。数学は端から身体を超えていこうとする行為でありながら、それはただ単に身体と対立するのではなく、身体の能…

82年生まれ、キム・ジヨン(読書記録)

チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだ(2024年2月19日読了)。 これを読んだきっかけは、頭木弘樹編のアンソロジー「うんこ文学」に収録されている、ヤン・クイジャ著、斎藤真理子氏の新訳による「半地下生活者」を読んだこ…

世界はなぜ地獄になるのか(読書記録)

橘玲の「世界はなぜ地獄になるのか」を読んだ(4月3日読了)。 序文で著者は“リベラル”を「自分らしく生きたい」という価値観と定義している。近代以降、人類史上とてつもなくゆたかで平和な時代が到来し、「自分らしさ」を追求できるようになった。反面、あ…

キンドレッド(読書記録)

オクティヴィア・E・バトラーの「キンドレッド」を読んだ。 【あらすじ】主人公の黒人女性デイナは26歳の誕生日に19世紀初頭の南部アメリカにタイムスリップし、白人少年ルーファスの命を救う。以降、ルーファスが危機に陥る度にデイナは彼の時代にタイムス…

愛憎の魔物を喰らえ!(金原ひとみ「マザーズ」読書記録)

金原ひとみの「マザーズ」を読んだ。 文庫にして600ページ超の長編。かなり読んだと思ったのに20%も進んでいないと知った時、この小説は「すげー長い」と思った。40%くらいの時点では「なんかずっと同じこと書いてる」と思った。50%まで進むと引き返せな…

大人ってなに? そう思って生きてきたの(「ボクたちはみんな大人になれなかった」読書記録)

燃え殻の「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読書会のために読んだ。 読書会の課題図書っていうのは自分だったらまず手に取ることがないようなもので、少なくとも次に読もうと思うようなものではなくて、人々の好みの多様さや世の中に存在する本の夥し…

悪口って好き?嫌い?

【過去の読書記録】悪口ってなんだろう/和泉 悠 とても易しく簡潔な文章で、読みやすかった。 パート1 悪口はどうして悪いのかパート2 どこからどこまでが悪口なのかパート3 悪口はどうして面白いのか上記の3つのパートがあり、私は特にパート1とパート2に…

セクス連呼厨大江の物語

タイトルはAIでつけてみた。ひどいな。2024年になってた。びっくり。新年度になるので気持ち新たに。 今日の読書記録「死者の奢り・飼育」大江健三郎初めまして大江。大江は性器のことをセクスと云うのだ。セクス連呼厨大江。 表題作「死者の奢り」医学部の…