読書とカフェの日々

読書感想文と日記

5月25日:岸本佐知子「変愛小説集 日本作家編」

今日も起床して出勤。仕事中に書いた余分のTODOは中途半端になったけどまあよし。重大なことを忘れていたことを思い出したので、隙間時間に猛烈に片付ける。危機感は原動力。終業間際に見た「嵯峨」の字面がギザギザして強そうでもっとよく見ると中指を立てている二人組に見える。歯医者には電話できず。明日かけよう。

帰宅してごはん。やたらと刺身を食べた。休みの前の日に晩ごはんを家で食べると非常に眠くなる。もうおやすみモード。眠たがりやな私。

今日こそは「ペスト」を読み終わりたくて、眠気を誤魔化し誤魔化し解説も読んで読了。まとめるという話になっていたので明日から少しずつまとめの作業をしよう。読まなくてもわかるペスト。2章の中間以降でだれてしまったので、この辺が薄くなりそうだな。一回読んだから、あとは楽になるだろう。

日記も書きたいので、他にもどしどし読んでいくことで書くことを増やしたいという下心で積読を眺める。筒井康隆「パプリカ」を読みたかったんだけど、長編だからすぐにはネタにならないからやめて、岸本佐知子が編んだ「変愛小説集 日本作家編」を読みはじめる。

岸本佐知子編訳「変愛小説集」という翻訳アンソロジーが先にあって、英語圏の作家たちによる「変な愛」を描いた小説ばかり集めた作品集だったんだけど、この日本作家編はなんと、豪華作家陣による書き下ろし小説集なんだ! てっきり既刊の短編のアンソロジーとばかり思っていた。岸本佐知子すごっ。作家陣へのリクエストはただ単に「愛について書いてほしい」ということだけ。それがどれもこれも変てこでグロテスクで極端で純粋な愛の物語が集まった作品になっているらしい。

はじめから順に、川上弘美多和田葉子本谷有希子村田沙耶香吉田知子までを読む。村田沙耶香「トリプル」カップルに対してトリプルという恋愛(性愛)の形を神聖なものとして経験している女子高校生の話で、通常運転でトバしてくる。常識をためらいなく破ることで「正しさ」や「清潔さ」を相対化している。いずれ遠からず、村田沙耶香作品は全部読みたい。

そして、多和田葉子の作品「韋駄天どこまでも」を初めて読んだんだけど、これは好きなやつだ! 文字を解体していく地の文の遊びの中に、「東田一子」と「束田十子」の二人がお互いの体(字体)を弄り合い、画数を交換しながらどちらがどちらかわからなくなっていくシーンは白眉。不用意に始まった二人の蜜月がやっぱり突然に終わるが、最後の仕掛けがわからずにいる。「きっといつの日か、ちじょうで再会できる。」この“ちじょう“がひらがなになっているのは何か意味があるんだと思うけど、「地上」以外だと「痴情」くらいしか出てこなくて、うーん。誰かわかる人いたら教えてほしい。そして読むぜ。多和田葉子。はじめに「地球にちりばめられて」を読みたい。

まえがき部分にあたる「前口上」に書いてあった日本の「変愛」的な名作も全部読んでみたくなった。泉鏡花「外科室」川端康成「片腕」谷崎潤一郎「富美子の足」芥川龍之介「好色」(元ネタは今昔物語のトイレ回収変態男の話だろう)。日本語で書かれた作品を読んで「これを訳したい!」と地団駄を踏む佐知子かわいいよ佐知子。

続きはまた明日。今日はもう遅いから寝ましょう。明日はおやすみ。